会員用お知らせ

【診療所向けベースアップ評価料説明会の解説動画および質疑応答集(Q&A)のご案内】

「ベースアップ評価料の届出様式の大幅な簡素化」がなされたことの事務連絡が令和7年1月10日付でありました。

「ベースアップ評価料加算」は医療従事者の賃上げを目的として、診療報酬に上乗せされる加算のことです。令和6年度の診療報酬改定において新設されました。医療従事者の処遇改善・人材確保のための原資を「公的に確保」し、経営の安定化と人材の定着を促進し「質の高い医療提供を維持するために設けられた制度」です。画期的な制度ですが、診療所における申請は残念ながら25%にとどまっています。

申請が行われていない理由として

  1. 申請の仕方が面倒。さらに毎年8月に賃金改善実績報告書を提出しなければならない。
  2. 自院の収入増にならない
  3. 職員のベースアップの原資を患者の負担増に求めることへの抵抗感
  4. 恒久的な制度か不明で、何時梯子を外されるかわからない

等が考えられます。

①の問題は今回の申請手続きの簡素化によりかなりクリアされたと言えます。

②については、待遇改善により、スタッフの意識の向上、医療の質の維持・向上が期待され、離職率の低下、人材不足の解消につながり、結果として自院の収入増に寄与します。

③については、人件費の増加の原資を診療報酬の増点に求めてよいと国が判断したことに評価をしたいと思います。もし患者さんからクレームが来ても「収入が増えない診療所のスタッフの給料を上げるための救済策として国が決めたことだから」と説明してください。

④については、今後も申請を行う診療所が少ないと、「診療所はベースアップに充てる資金には困っていない」とみなされ、この制度は廃止されていく事になるでしょう。

多くの診療所が申請を行うことが、この制度を持続的なものにする唯一の方法だと言えます。

また、平成6年度の補正予算で物価上昇対策として診療所に対して18万の給付金が支給されることになっておりますが、そのためにはベースアップ評価料の算定が必要とされています。

今後も給付金や補助金の支給が行われる可能性がありますが、その場合もこのベースアップ評価料を算定していることが条件になることは十分に考えられます。

このベースアップ分は「ベースアップ加算」の名目にしてスタッフに支給することをお勧めします。そしてもしこの制度が無くなったらこの加算も無くなる、という説明を行っておけばよいのです。これで梯子を外されることの不安も解消されます。

このまま、申請が低調なまま推移するとこの制度の存続にかかわるだけでなく、次回以降の診療報酬の改定にも大きな影響があることは間違いないと思います。

前回の改定でも財務省は「診療所はもうけ過ぎている」という認識を示しています。もちろん大きな誤解ですが、病院の申請率が高いのに比して診療所の申請が少ないと、この理論を支持する事実として用いられることになります。その結果は診療所に対する診療報酬の引き下げにつながることは必至です。さらに耳鼻咽喉科が他科よりもベースアップ評価料の算定が少ないと「耳鼻咽喉科は困っていない」とみなされることになります。

〇この算定方法については、自見はなこ参議院議員による「診療所向けベースアップ評価料説明会」(2月14日開催)の録画が3月末迄限定公開されています。非常に分かり易く参考になるので是非閲覧してください。

説明会:https://youtu.be/-cK_ez3VG1E

関係資料:https://drive.google.com/drive/folders/1iXk3m64XHHHFkFM1ryUQSge438qwDlIJ

Q&A集:https://x.gd/dzq1m

〇厚労省のサイトは下記に記します。

ベースアップ評価料等について

是非、ベースアップ評価料の算定を行ってください。出来れば今月中、遅くとも3月中に届け出を行いましょう。皆様の参加は自分の為だけでなく、耳鼻咽喉科全体の為でもあります。

(一社)日本臨床耳鼻咽喉科医会 

会長        川嵜 良明

医療対策担当副会長 野上 兼一郎